2009年08月05日 (水) | Edit |
408 774号室の住人さん :2007/08/21(火) 11:29:28 ID:g9tQKld5
学生時代に半年ほど住んでた超ボロアパート(6畳1間で家賃26,000円、風呂無しトイレ共同)での話。俺は2Fの1室に住んでたんだが、真下の部屋に子持ちの女性(30代後半くらい)が住んでいた。
何回か夕方くらいに3歳くらいの男の子連れて出てくるのを見たことがあるが、見るからに水商売です!っていう派手な服と化粧。夜中の3時くらいに帰ってきたりしてたんで、あー苦労してるんだなぁくらいに思っていた。
あるとき、真昼間にその部屋でいきなりギシアンが始まった。クーラーなんてもちろんないので、夏場は窓フルオープンで凌いでいるのだが、真下の部屋も窓全開のままらしく、手をのばせば届きそうなくらい近くで声がする。
途中で体位変えるときの女「え、どうすんの」男「後ろむいて」みたいな生々しい会話まで…あまりに凄まじいので、ちょっくら通りかかった振りして窓から覗いてやろうかしら?とスケベ心を起こして1Fに降りてみると、その部屋のドアの前で例の男の子が1人でしゃがみ、プラスチックのスコップと鍬で雑草だらけの地面をこつこつ突っついていた。
俺は何ともいえない気持ちになって、とぼとぼと自室に戻った。それからというもの、昼頃になるとほとんど毎日のようにギシアンが始まるようになり、そのたびあの男の子の姿が目に浮かんで居たたまれなくなって、ヘッドホンで大音量の音楽を聴いてた。
学校から帰ってきたとき、ちょうどその1Fの部屋から男が出てくるのを数回見たことがあるが、すべて違う男だった。財布をしまいながら出てくる男もいた。社会経験の少ない当時の俺でも、いろいろ察するところがあった。
しばらくしてそのアパートを引き払うことになり、最初に越して来たときに挨拶した隣と真下の部屋に挨拶に行った。さすがに真下の部屋に行くときは緊張した。朝9時くらいだったので、まだ寝てるかな?と思いつつノックし、「2Fの○○ですが」と声をかけると、ドアが開いて女性が出てきた。
きちんと顔を見たのは最初に挨拶して以来だったが、久しぶりに見るその顔は意外なほど肌も綺麗で、相変わらず目のぱっちりした美人だった。30代後半だと思っていたが、今思うともっと若い人だったかもしれない。ボク引っ越すんです、というと「いつもうちの子が騒がせてしまってすみませんでした」と言って、笑って頭を下げた。優しそうな笑顔だった。でも、あの男の子が騒いだことなんて1度もない。本当はもっと違うことを謝りたかったんだろう。
それから10年くらい経って、仕事でたまたまアパートの近くに行くことになり、懐かしくなったので空いた時間にアパートを見に行った。するとそこにあのアパートはなく、代わりに小奇麗なマンションが立っていた。あの親子は今頃どこでどうしてるのかな…と思うと、またあのスコップをいじる男の子の姿が目に浮かんで、涙が出そうになった。
何回か夕方くらいに3歳くらいの男の子連れて出てくるのを見たことがあるが、見るからに水商売です!っていう派手な服と化粧。夜中の3時くらいに帰ってきたりしてたんで、あー苦労してるんだなぁくらいに思っていた。
あるとき、真昼間にその部屋でいきなりギシアンが始まった。クーラーなんてもちろんないので、夏場は窓フルオープンで凌いでいるのだが、真下の部屋も窓全開のままらしく、手をのばせば届きそうなくらい近くで声がする。
途中で体位変えるときの女「え、どうすんの」男「後ろむいて」みたいな生々しい会話まで…あまりに凄まじいので、ちょっくら通りかかった振りして窓から覗いてやろうかしら?とスケベ心を起こして1Fに降りてみると、その部屋のドアの前で例の男の子が1人でしゃがみ、プラスチックのスコップと鍬で雑草だらけの地面をこつこつ突っついていた。
俺は何ともいえない気持ちになって、とぼとぼと自室に戻った。それからというもの、昼頃になるとほとんど毎日のようにギシアンが始まるようになり、そのたびあの男の子の姿が目に浮かんで居たたまれなくなって、ヘッドホンで大音量の音楽を聴いてた。
学校から帰ってきたとき、ちょうどその1Fの部屋から男が出てくるのを数回見たことがあるが、すべて違う男だった。財布をしまいながら出てくる男もいた。社会経験の少ない当時の俺でも、いろいろ察するところがあった。
しばらくしてそのアパートを引き払うことになり、最初に越して来たときに挨拶した隣と真下の部屋に挨拶に行った。さすがに真下の部屋に行くときは緊張した。朝9時くらいだったので、まだ寝てるかな?と思いつつノックし、「2Fの○○ですが」と声をかけると、ドアが開いて女性が出てきた。
きちんと顔を見たのは最初に挨拶して以来だったが、久しぶりに見るその顔は意外なほど肌も綺麗で、相変わらず目のぱっちりした美人だった。30代後半だと思っていたが、今思うともっと若い人だったかもしれない。ボク引っ越すんです、というと「いつもうちの子が騒がせてしまってすみませんでした」と言って、笑って頭を下げた。優しそうな笑顔だった。でも、あの男の子が騒いだことなんて1度もない。本当はもっと違うことを謝りたかったんだろう。
それから10年くらい経って、仕事でたまたまアパートの近くに行くことになり、懐かしくなったので空いた時間にアパートを見に行った。するとそこにあのアパートはなく、代わりに小奇麗なマンションが立っていた。あの親子は今頃どこでどうしてるのかな…と思うと、またあのスコップをいじる男の子の姿が目に浮かんで、涙が出そうになった。
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