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2ちゃんねるのまとめさいと
2009年06月09日 (火) | Edit |

  • 編集元:Download板より「FTPって?

    139 名無~[age ] :2001/05/10(木) 12:14

    上司「磯野君、君最近パソコン使ってるらしいじゃないか。」
    オヤヂ「え?ええ!若い者には負けられませんからな!
     毎日Eメールでネットサーフィンですよ!ウハハ」
    上司「それは頼もしいなー。
     実は我が社でもPC導入を考えていてな。
     まずは我が社のホームページってヤツを作ろうかと考えている。
     本格的に稼働するようになったら業者に頼むのだが
     その前にメールアドレスの告知と、我が社にも
     パソコンがあって使えるやつがいるって所を見せたいから
     社内で作れる者が居るか探していたんだよ。出来るかね?」
    オヤヂ「で、出来ますよ!何しろオフィスで家計簿、
     ワープロで年賀状、ISDNで64、64、128ですからな
     我が家は。ハハハハ。」

    と言う訳なんだ。
    お、オヤヂ(;´Д`)
    俺は頭を抱えた。

    140 名無~[age ] :2001/05/10(木) 12:16

    もちろんWEBページを作るぐらいなら簡単に出来る。
    いや、業者に負けないぐらいの者を作ってみせる
    自信もある。ソフトは揃っているし
    何しろ毎日NETサーフして色んなページを回っているのだ。
    ユーザが使いやすく見やすい好まれるデザインなんて
    お手の物だ。チャットでテクニックも教わっているし。
    しかしもう一つ難題があった。
    オヤヂにPCを教えなくてはいけないのだ。
    それはそうだろう。
    そのうち会社にPCが導入されて、使えないようでは困るのだ。
    とりあえず変な言動をしない様に教育しなくては。
    冬休みに入ったら毎日特訓だな。

    ISDN128への説得は楽だった。
    「家は128で接続しておりますからな。って言えば
    かなり尊敬されるし、感心されるよ。」
    そう言ったら一つ返事で承諾した。
    これはこれから物をねだるのが楽になるぞ。
    クリスマスには何を買ってもらおうかヒヒヒヒ。

    141 名無~[age ] :2001/05/10(木) 12:16

    オヤヂの会社のHPはすぐに作ってしまった。
    ブラウザ間に障壁がない様に無難な作りではあったけど
    クライアントの要求は満たしているはずだ。
    無意味にレイヤーなんて使わずにテーブルだけで
    デザイン性を追求した。画像はあまり使わずに
    テキスト中心の堅牢な作り。
    和塩にテストとしてアップして置いた。
    オヤヂの会社ではかなり評判が良かったらしい。
    オヤヂはかなり上機嫌だった。
    ISDN128はNTTが奨めているサービスだけあってすぐに始まり
    プロバイダのサービス開始も早かった。
    俺はただ落とす側からアップする側へ変わった。
    もちろんダウンは今まで以上にしているけどね。ケケケ

    オヤヂのHPを作ってから俺のPCスキルは家族どころか
    友人知人近所親戚では有名な物になった。
    PCにトラブルがあると俺の所に相談に来たし
    ホムペの作成依頼も結構あった。
    その度にお礼のお小遣いやおやつが貰えるし
    俺の評判はかなり上がった。
    これはお年玉が期待できるぞ~

    142 名無~[age ] :2001/05/10(木) 12:17

    ウザイ依頼も多かったけど
    俺は黙々とPCの相談受付やHPの作成依頼を
    こなしていった。実は小遣いやお礼以上に
    楽しい報酬が俺にはあったからだ。
    事の発端はノリスケさんの依頼からだった。

    「面倒だから家のFTPのIDとPASS教える。
     直接アップしちゃってよ。」
    新聞社勤めのくせにPCも使えねぇのか?
    文系ドキュソはこれだからナ。
    そう思ったけど野球の観戦チケットと
    ホームランボールの魅力には勝てなかったので
    黙っていた。
    俺はいつも通りHPを依頼通りに作って
    FTPにログインしてアップしていた。
    掲示板の作成も頼まれていたから
    パーミッションなんかいじっている時に
    ふと気が付いた。
    このIDとPASSってプロバイダのヤツだよね?
    こんなの俺に教えて良いわけ?
    だってこのプロバのノリスケさんのアカウントに
    繋ぐことだって出来ちゃう訳でしょ?
    ひょっとしてメールとか受信できちゃうんじゃないの?
    試してみると案の定メールサーバにアクセスできた。

    143 名無~[age ] :2001/05/10(木) 12:18

    HPの作成が終わって、ノリスケさんに喜ばれた後も
    俺は毎日メール受信を続けていた。
    新聞記者であるノリスケさんのメールは面白かったのだ。
    そのうちおかしなメールを見つけた。
    ノリスケさん浮気していやがったのだ。
    アクセスがブッキングしないように
    時間を選んでメールチェックしていたのだが
    たまたま引っかかったらしい。
    マジかよ!善良そうな顔しやがって。良くやるぜ。
    つーかあの顔で良く不倫とか出来たもんだな。
    俺は不倫相手にムラムラと興味がわいてきた。
    何度かメールのやりとりを確認して
    確信を持った俺はノリスケさんの会社を尋ねて
    見ることにした。
    どうやら会社のOLらしい。しかも若いみたいだ。
    クソーやるモンだね。
    ノリスケさんの会社には行ったことがあったので
    突然訪問してみることにした。

    144 名無~[age ] :2001/05/10(木) 12:19

    お相手は簡単に見つけることが出来た。
    案内してくれた受付嬢がそうだったのだ。
    メールと同じ名前の名札が付いていたから
    分かったのだ。しかし結構な美人だったので
    俺は半信半疑だったから探りを入れてみた。
    「ノリスケさんと親しいんですか?」
    変な意味を持たないように明るく聞いてみた。
    「ううん。良く知らないわよ。名前を知っている程度。」
    お姉さんはにっこり笑って答えた。
    間違いねぇ。この女だ。
    事実ノリスケさんの所まで案内して貰った時
    この二人意味ありげな目配せしてやがった。
    ガキだと思ってなめやがって。
    しかしこの綺麗なオネェちゃんとおっさんが?
    どんな何だろう?ハァハァ。

    145 名無~[age ] :2001/05/10(木) 13:21

    「カツオ君何だい?」
    俺が妄想に浸っているとノリスケさんに声をかけられた。
    「あ、この間の野球のチケットのお礼に。
     とっても面白かったよ~。どうもありがとう。」
    「え?それだけのために来たのかい?いやいや
     こちらこそ助かったよ。評判良いよあのHP。」
    「そうですか~良かったです~。」
    「そうそう。もう一つお願いがあったんだよ。
     近くの喫茶店で奢るから聞いてくれないかな?」
    「良いですよ。おやすいご用で~」

    俺はパフェとカレーライスを食べながら
    ノリスケさんの話を聞いた。
    「近頃パソコンの調子が悪くてね。
     凄く重いんだよ。見て貰いたいんだけど。」
    「OSの再インストールっていつ頃しました?」
    「イヤ買ってから一度も。」
    「メモリはどれくらいあるんです?」
    「32だったかな?」
    「デフラグとかしてます?」
    「何それ?」
    しょうがない。一度家に帰って、
    確か余ったメモリがあったからアレを持って
    クリーンインストールしてやるとするか。



  • 146 名無~[age ] :2001/05/10(木) 13:21

    俺はノリスケさんの承諾を取って
    今日帰ってからセットアップして上げることを約束した。
    メモリは定価で売りつけることにしよう。ウヒヒ
    ノリスケさんは映画のチケットとお小遣いを約束した。
    カオリちゃんとデートでもするか~。

    ノリスケさんの家にはタイコさんとイクラちゃんがいた。
    しばらく俺の作業を見ていたが買い物に行くと言って
    出ていった。どうやらPCに全く興味がないらしい。
    それはそうだろう。そうじゃなきゃメールで浮気相手との
    やりとりなんて危なくて出来ないもんな。
    バックアップを取るためにパーテーションを切り
    さすがにフルバックアップはキツイから
    バックアップを取るべきファイルを探してみた。
    一応大事な物はノリスケさんからメモを貰っている。
    マイドキュメントを見ていると隠し属性のフォルダが
    やたらにある。何だこれ?
    フォルダをあけてみるとデジカメで撮った画像だった。
    うわ!あのオネェちゃんのハメドリじゃん!
    凄い枚数が保存してある。ハァハァ
    これは大変だ。全部コピーして持って帰ろう。ハァハァ

    セットアップが全て終わった頃ノリスケさんが帰ってきた。
    俺はこれからもあのオネェちゃんの画像が見たいので
    トロイをついでに入れて置いて上げた。ハァハァ

    147 名無~[age ] :2001/05/10(木) 13:22

    これ以来俺はPCの事やHP作成依頼を頼まれると
    他人のPCを覗くのが趣味になっていった。
    wareサイトで知り合った厨房クラカに色々教えて貰い
    見つけにくいトロイの種類やしかけ方、
    ハッキングのやり方なんかを教わった。
    ハッキングもクソも最初からIDPASSが分かるんだから
    大したスキルはいらないんだけどネ。ワラワラ

    他人のPCを覗くのは楽しかった。
    面白くもない物も多かったけど、
    同級生のメールや日記を盗み読むのはエロゲどころじゃない。
    でもそれをネタに揺すったり脅したりするつもりはなかった。
    金には困っていないし。覗くのが趣味なだけで
    この楽しみがばれて出来なくなってしまうのがイヤだったから。
    さすがに職員室のPCに仕掛けるときは自分でもどうかと思った。
    テストの内容が全部分かっちゃうし人の成績まで操作できる。
    もちろん仕掛けたけどね。ウヒヒ
    でもただ覗くだけ。テストも一応見るけど勉強はきちんとした。
    NET上では学歴低いヤツ、スキルがないヤツって馬鹿にされる。
    俺はそれがイヤだったのだ。

    148 名無~[age ] :2001/05/10(木) 13:23

    金に困っていないと言うのは
    例のソフト焼き売りでの売り上げだ。
    顧客の数は減らしたけど順調に売れていた。
    でもCD-Rの値段が下がって来ると
    みんなが俺の売ったCDを焼いてしまい
    あまり売れなくなってきた。
    俺は簡単なプロテクトをかけてやろうかとも思ったが
    それは思いとどまった。恨まれたくないし、
    木を隠すのなら森の中だ。
    みんなが焼いてコピーが横行すれば出所が掴まれにくい。
    すでに何人かの生徒は親に見つかったりしていて
    ある時職員会議の話題を独占した。
    しかし芋蔓式に俺まで捕まらなかったのは
    6年生のガキ大将にはCDをただでまわしてやって
    みんなに睨みをきかせて貰っていたからである。
    しかし俺は小売り部隊も抱えていたし
    捕まった下級生どもは俺の存在さえ知らないだろうが。

    150 名無~[age ] :2001/05/10(木) 13:24

    俺は稼いだ金で焼き専用マシンを作った。
    小型ケースが出回り始めた頃だったので
    机の下に置いて稼働させた。
    warez自体は128接続になってから
    落とす物がないって程落としていて
    焼いて保存したCDはfull物を含めて
    500枚ほどになった。
    アップはもちろんしていた。
    最初は自分でページを構えようかと考えていたのだが
    リク物を中心に間借りさせて貰い掲示板にアップしていた。
    warez界のそうそうたるメンツが集まるIRCがあり
    そこに俺も招かれて夜な夜な出入りしていた。
    ここに常駐しながら各wareサイトの掲示板やチャットを
    ROMっていると自分が神様にでもなったかの様に
    錯覚を起こす。だって
    『割男さ~んお願いです~』とか
    『ありがとうございました。迅速なアップ凄いです。
     尊敬してます。いつか俺もアップしたいです』
    なんて書かれるとそんな風に思ってしまう。
    だって俺消防なのに。ゲハハハ

    151 名無~[age ] :2001/05/10(木) 13:25

    そのうちこのあたりでケーブルテレビ回線が
    始まることが分かった。
    現時点では最速だ。
    俺はオヤヂに相談して引いて貰うことにした。
    オヤヂはPCの生徒になって以来俺の言いなりだ。
    あの厳格だったオヤヂが毎日俺に色々質問するのは
    気分がいい反面なんだか悲しい気もした。
    これが父を越え大人になるって事か。違う?
    俺の成績は上がっているし、近所での評判もいい。
    何を反対することがあるのだろう?
    ある晩など夕食の時こんな会話が交わされた物だ。
    「カツオは本当にパソコンが好きだし得意だな。
     将来は何になりたいんだ?」
    オヤヂが言う。
    「カツオ君は最近じゃプログラムまで組んでるんでしょ?
     凄いなぁ。今度僕にもVBA教えてよ。」
    とマスオ兄さん。
    プログラムつってもpealだけどナ。VBA?
    ナニソレ?食えるの?C++だったら今勉強中だから
    教えてやっても良いけどナ。
    早稲田卒ごときに理解できるかな?ウヒヒ
    「お兄ちゃんは将来日本のビルゲイツになるのよね!」
    オイオイ。ゲイシなんかと一緒にするなよ。
    もっともソフト売って稼いでるのは今でも一緒だけどナ
    「凄いデース!ハッカーデース!」
    タ、タラちゃん。

    152 名無~[age ] :2001/05/10(木) 13:26

    「まだ良く分からないやエヘヘヘ」
    などと照れたフリしてごまかしていた。
    話題はタラちゃんがハッカーなんて言葉を知っていた事について
    移っていたので俺は適当にお茶を濁し飯を食った。
    どうせ『タラちゃんスーパーハカー』なんて題名に・・・
    題名?

    ただ一つ気になったのが
    いつもなら何か一言要らないことを言う
    アネキが大人しくニコニコ笑っていた事だ。
    珍しいこともある物だ。
    つか、ヤツもようやく俺のことを認めたか。ヘヘヘ

    CATV回線はすぐに開通した。
    今までと比べると驚きの早さだった。
    何というか、web割れでは使い切れない早さ。

    俺はこれを機に家庭内LANを組もうと考えた。
    どっちにしろそうしないと家中でNET出来ない。
    無線LANも考えたが、まだまだ高いしスピードもない。
    マスオ兄さんに相談して一緒に秋葉で買い物をしてくる事にした。

    153 名無~[age ] :2001/05/10(木) 13:26

    LANは拍子抜けがするほど簡単に構築できた。
    カード刺してHUB繋げるだけだ。
    しかし気を付けないと俺のマシンのファイルがばれるので
    鯖機を別に構築。そこからクライアントとして何台か
    マシンを繋いだ。鯖缶は俺なので権限の割り振りなんかは
    自由に設定できる。
    鯖機にFTPdを入れて24時間制の会員制鯖を立てた。
    これでいちいちwebを探し回らなくても良い。
    元々豊富だった俺の割れ物は鬼のような勢いで
    増え始めた。それと同時にエロ動画も増えていった。
    それを売って又儲けた。
    しかし気になることがあった。
    鯖ログを見ているとアネキが毎日欠かさず
    メールのやりとりをしている。
    一体誰と?そりゃ奥様方の井戸端会議もあるだろう。
    でも毎日定期的に、しかもアニキの目を盗むような時間に。
    俺はノリスケさんの一件を思い出し
    不倫の臭いを感じた。まさか。アネキが?ケケケ
    あの髪型で不倫かよ。
    でも興味があったので覗いて見ることにした。

    165 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:17

    LAN経由でアネキが使っているメーラーをいじくることもできたし
    アネキがメール受信する前に
    メールをこっちで受けちゃう事もできたが
    小細工は労さず直接ブレッツァをいじることにした。
    俺のPCが出来てからと言う物こいつには殆ど触っていない。
    家族用のPCになっているけどLAN関係でいじっていると言えば
    みんな納得するだろうし誰もとがめはしまい。
    しかも今はアネキ買い物に行っているし
    他の家族も出かけていて家には俺しかいない。
    なるべくなら面倒なことは避けたいので俺はこの時を選んだ。

    アネキのメーラーはアニキが使っているアウトルックとは別に
    インストールしてあるらしい。
    しかしHDDの何処を探してもそれらしい物は見つからない。
    あれれ?たしかp_mailerとか言うソフトで・・・。
    しかしそんなソフトは見あたらなかった。
    諦めようかとも思ったが、
    そのファイル名でNETを検索してみようと思い付いた。
    たぶんフリーかシェアのオンラインソフトだろう。
    隠せるタイプの秘密ソフトかも知れないし。
    検索すると何軒かの検索結果が出た。
    あった。ポケットメーラー。フロッピーで持ち運べる?
    そうか!そんなソフトを聞いたことがある。
    しかし、ますますぁゃιぃ!

    166 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:17

    俺はアネキの部屋を漁ってみることにした。
    一体何処に隠してあるのだろう?
    皆が帰ってこないうちにと焦りながら探索をしたが
    全然見つからない。フロッピーディスク自体が
    何処にも見あたらない。
    アネキはへそくりを隠す名人だ。
    俺は何度か目撃したことがある。
    しかし今回は一筋縄ではいかないらしい。
    そのうちにタラちゃんが帰ってきてしまったので
    諦めることにした。

    いいさ。
    アネキがアクセスする時間は分かっている。
    その時にアネキの行動を監視していれば良いんだ。

    アネキが帰ってきた。
    早速メールチェックをするのだろうPCのある部屋に行った。
    俺は自分の部屋でそれを確認し、
    アネキの元に急いだ。
    襖の影から覗いてみると、アネキはちょうど
    フロッピーを取り出すところであった。シメタ

    167 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:18

    しかしアネキはそれを財布の中にしまった。
    ああ!あれじゃ見れない。
    さすがに財布を漁るのはまずいだろう。
    と言うかそれほど大事な物なのだ。
    俺はますます疑いを強くした。
    フロッピーをコピーする方法は
    直接財布を漁らなくてもある。
    LAN経由でアネキがフロッピーを刺した瞬間に
    俺のPCに内容をコピーしてしまえばいいのだ。
    しかしこれには結構危険が伴う。
    でも俺は好奇心には勝てなかった。

    次の日いつもの時間にアネキがメールチェックするのを
    自室で待っていた俺はフロッピーが認識された瞬間に
    コピーを開始した。
    いつもよりアクセス時間が長いと感じるかも知れないが
    これが一番ばれにくいタイミングだろう。
    フロッピーの内容をすっかり俺のHDDコピーすると
    俺は急いで部屋を出た。ばれたときの保険のためだ。
    しかしアネキはいつまでも部屋から出てこなかった。
    ばれなかったようだ。ホッと胸をなで下ろした。

    168 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:18

    夕食の時もさりげなくアネキの様子をうかがってみたが
    何も変化は見られなかった。
    どうやら全然気が付いていないようだ。
    しかし・・・
    いつもは猫を裸足で追いかけたり、財布を忘れる
    陽気で愉快なアネキがあのフロッピーに対する
    警戒心は一体どうゆうことなのだろうか?
    かなりの秘密が隠されているに違いない。
    夜になってみんなが寝静まったら
    あのフロッピーに入っているメーラーを起動して
    中身を読んでみよう。
    家族のプライバシーを暴くことにちょっとした罪悪感を感じる。
    オヤヂの事を覗いて脅してしまったあのときの感覚が甦る。
    しかし家族に隠し事をしているのはアネキの方なのだ。
    迷うことはない。
    以前成績が悪かった頃、隠してあったテストや
    学校での不始末を暴き立てて家族の前で糾弾したのは
    他ならぬこのアネキではないか。
    あのときの恨みを思い出すのだ。
    いつか復讐してやると誓ったではないか~。
    コ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ!
    俺は復讐のためなら迷うことなくバラのシャツを着るぜィ!

    169 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:19

    夜になり、ワカメが寝ていつもなら家族中が寝たであろう
    時間を見計らい、机の上の勉強道具を閉じた。
    いつも夜NETするときは勉強している振りをして
    家族が起きてこない時間に始めたのである。
    いや、勉強する振りではなく実際に勉強をしていた。
    いつもは。
    今日は勉強が手に付かず教科書の同じ部分を何度も何度も
    読み返していることに気がついていた。
    一体どんなメールが隠されているのだろう?

    PCの電源は常につけてある。
    モニタの電源を入れ、問題のコピーしたファイルを開く。
    フォルダの中身はいくつかのdatファイルとtxt、
    dllで構成されていたがどのファイルを開けば
    秘密を暴くことが出来るかはすぐにわかった。
    俺はふるえる手でexeファイルをダブルクリックした。
    ウィンドウ上には小さな窓が開き
    メーラーであることの証明のように『宛先』『件名』
    『CC』『BCC』・・・
    左側にはメールボックスが一つだけある。
    この中に問題のメールがある。
    クリックすると大量の件名一覧が表示された。
    しかしすべてノンタイトルである。こんなにたくさん
    やりとりを。一体誰とどんなメールを?
    一つ目の件名をクリックしみると
    「こ!これは?」

    170 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:19

    メーラー上には意味不明な文字の羅列。
    文字化けしているのか?いや、こんな感じのものを
    以前どこかで見たことがある。
    そう、warezの掲示板やOFF交換でのメールでだ。
    これはもしかしたら、PGP暗号!?

    普通は受信したときに暗号化を解除して保存するものだ
    一体なぜこんな手の込んだ保存を?
    いや、アネキがなんでPGP暗号など知っているのか?
    暗号化するほどの秘密のメールなのか?

    俺はちょっとしたパニックに陥りながら
    しばらく考えた。そうか!メールの相手だ!
    そいつがアネキにPGPの事を吹き込んで
    使わせているに違いない。
    しかしその相手も慎重なやつだ。
    一体どんなやつだ?

    俺はメーラーのアドレス帳を見てみることにした。
    とりあえずやりとりの相手だけでも確認したい。
    そうすればアネキとの関係、メールの内容が推察できる。
    ひょっとしたら暗号鍵をはずすことが出来るかもしれない。

    171 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:20

    アドレス帳には一件のメールアドレスしか存在していなかった。
    保存されているメール群も
    すべてそのメアドの主とやりとりされている。
    こいつか。ana5@oonami.go.jp
    ん?oonami?これアニキのメアドのドメインじゃん。
    アニキの会社のドメインだ。
    しかしIDがアニキとは違う。アニキのはisono@oonami.go.jpだ。
    じゃあ、アニキの会社の?一体誰と、何を?
    俺はアニキのメーラーを調べてみることにした。
    幸いオヤヂがエロサーフでもしているのだろう
    俺の部屋から家族のPCにアクセスすることが出来た。
    アニキのメーラーを調べてみると・・・
    あった。ana5@oonami.go.jp
    え~と、名前は・・・『アナゴ君』
    アナゴさん!?

    えええ!?なんでアネキがアナゴさんとメールのやりとりを?
    しかも秘密で?ナンデナンデ?
    そしてPGP、これもアナゴさんが指示したの?ナンデナンデ?
    事実は俺の予想を遙かに超えていた。
    メールの内容を推察するどころではない。
    俺はすっかり混乱してしまった。

    172 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:21

    考えられることは
    アネキがアニキに内緒でアナゴさんと何かしている。
    つまりアネキがアナゴさんと浮気しているって事?
    ええ~?マジで~?考えられないな~。
    アニキのメールボックスも覗いてみたけどアニキとアナゴさんの関係は
    本当に友人ってだけのようだ。
    会社で毎日顔を合わせるのだろうから
    メールの内容は「じゃあ明日また会社で」が多かったけど
    家に帰ってきても仕事以外のことでメールするぐらいなのだから
    よほど仲がいいと考えていいだろう。
    問題はアネキとアナゴさんだ。
    アネキがアナゴさんに会社でのアニキのことを聞いているとか?
    イヤイヤ、そんなことはないだろう。
    しかしこの二人がアニキを裏切って、
    と言うか憚って繋がっているのは事実だ。
    あ~メールの内容読みてぇ!

    173 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:22

    いろいろ試してみたがPGPの暗号鍵はわからない。
    二人の名前や、関係ありそうなものを試してみたのだが
    もともとこの二人、と言うかアナゴさんの情報が
    かなり少ないために暗号鍵の解除は望み薄だろうと思った。
    う~ん。どうすればいいんだろう?
    アネキが暗号解除する瞬間を監視していて・・・
    きついなぁ。LANの制御でそんな事までは。
    ならトロイを。イヤイヤ、危険だしウィンドウを監視していても
    どうせアスタリスクが表示されてしまうだろう。
    PASSを残す設定にしてあればそんなものは
    そこいら中に見るためのソフトが落ちているけど
    残念ながらPASSを残す設定にはしていないようだ。
    ・・・まてよ。
    確か何処かのTOOLサイトにKEY操作を監視して
    それをLOGに残してくれるソフトがあったはず。
    あれを家族のマシンに仕込めば行けるんじゃないか?
    良し!そうと決まれば今夜中に仕込んでしまおう。
    さすがにそれはLAN経由では出来ないから
    オヤヂの操作を監視して落ちたら仕込みに行こう。

    しかし、オヤヂの巡回先俺のブックマークとかぶってるな。
    これも遺伝か。

    174 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:23

    KEY操作LOG/TOOLは無事にインストールできた。
    明日一日のKEY操作を記録しておこう。
    どうせ昼間はアネキしかさわらない。
    昼間の操作を見てみれば暗号鍵もわかるはずだ。

    学校から帰ると、俺は自分の部屋からLOGを盗み読んでみた。
    どうやらメールのやりとりしかしていないらしく
    数行の記述しかなかった。
    ローマ字入力なのだからこれを読めばアネキの書いたメールも
    読めるはず・・・あれぇ?
    なんだか意味不明なローマ字だな?
    確かにIMEの変換もあるからスペースも入っているけど
    とてもじゃないけどこれ日本語に変換できないぞ。
    メール書いたんじゃないのかな?
    まぁ良いや。暗号鍵さえわかればこっちのものさ。
    暗号鍵の部分はすぐにわかった。
    やはり無意味な文字列であった。こんなのわかる訳ねぇって。
    それをコピペして見るとメール本文の暗号は解除できるようだ。
    しかし、この大量のメールを今読むのは危険だ。
    ワカメもいるし、誰が何時やってくるかわからない。
    焦ることはない。夜になったらゆっくり読もう。
    アネキの秘密をね。ウヒヒヒ

    175 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:23

    夜になって家族の物音が聞こえなくなると
    俺は昨日のようにメーラを起動した。
    今日こそはアネキの秘密を暴ける!
    こんなに大事に隠すぐらいだからよっぽどな秘密だろう。
    俺はその後の事なんて考えていなかった。
    二人が不倫をしていようが俺には関係のないことだ。
    むしろそんな事がわかればアネキのことを脅す材料が出来る。
    もうアネキにびくびくしなくても良いのだ。
    俺はドキドキしながらPASSを打った。
    こんなに興奮するのは初めてエロゲーをやった時以来だ。
    Enter!すると・・・

    今度はまた意味のない文字列に変わってしまった。
    あ、あれ~?解除できていないの?
    PASS間違えたかな?良し、もう一度。
    結果は変わらなかった。
    その文字列をよく見てみるとこれにも見覚えがあった。
    こ、これは!

    176 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:24

    文字化けてんじゃん。
    この化け方は、たぶん外国語の時の化け方だなぁ。
    メールが壊れている訳じゃなさそうだ。
    あーもう!一体何時まで俺を翻弄すれば気が済むんだ?
    こうなったら意地でも読んでやる!
    ワレザーなめんなよ!
    今ほど偽装形式が多様だったわけではないが
    この頃にもすでにJDAなどの偽装はあって
    PASSがけなんかもしてあるファイルがあったから
    この手の探索はお手の物だった。
    とりあえず外字だ外字。
    俺はマイクロソフトのページへ行って外字の表示を
    片っ端から落としてインストールした。
    何語だかわからないし。
    その頃にはもう、アネキがアナゴさんとなぜ「外国語で」
    秘密のメールのやりとりをしているのかなんて事は
    どうでも良くなってきていた。
    ワレザーの面子にかけてこのメールだけは、読む!

    177 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:24

    外字をインストールしてみると
    そのメールはハングル文字。つまり韓国語で書かれていた。
    よっしゃ~!でもなんて書いてあるかわからねぇ~
    しかしそこはワレザー。
    俺のATOKに不可能って文字はねぇ!
    俺に落とせねぇファイルはねぇ!!
    俺に解凍できないファイルもねぇ!!!

    た、確か日韓翻訳ソフトが何処かに・・・
    俺は保持ファイルリストを調べてそれがあることを確認した。
    問題はどこにあるかだ。これだけモノが増えると
    しまってあるCD-Rを探すだけでも大変だ。
    そんな時のためにしまってあるディスクの番号を
    ファイルリストに書いてある。
    ええと、APPZ159-21か。
    机の中を漁ったがその番号のCDはなかった。
    ここにないとすると・・・あ~あそこか!
    俺は面倒くささに悲鳴を上げたくなった。

    178 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:26

    FTPでのファイルのやりとりは楽な反面
    HDDの容量が要求された。
    リクエストを聞いてクライアントが求めているファイルを
    いちいち置いていたのでは俺も面倒だし
    クライアントも面倒がって嫌がる。
    なので需要があるファイルは殆どHDDに置いていた。
    バックアップは机の中にしまってある。
    だが、需要がほとんどないファイルや
    古いバージョンのAPPZなんかは置ききれないので
    ダンボールに入れて庭の物置にしまったのだ。
    明日にしようか?
    いや、俺は今すぐ読みたい!
    PCを自作した時に陰になっている部分を見るのに使っていた
    小さなマグライトを持って、家族を起こさないように
    勝手口から庭にでた。時刻は丑三つ時。
    勝手口の所でマグライトをつけると
    何からが上から落ちてきた。
    う、うわ~
    俺は声を出さずに悲鳴を上げた。

    179 名無~[age ] :2001/05/12(土) 17:26

    落ちてきたのはタマだった。
    びっくりさせんなこの野郎!
    ボウガンで打って目玉えぐり出して写真とって
    webにアップしてバスジャックの犯行声明すんぞ!

    物置は勝手口のすぐそばにある。
    音が響かないように開きづらい扉を開くのに
    かなり苦労した。
    扉を開けると取り出しやすいように一番手前に置いてある
    段ボールをあける。中にはCDファイルがぎっしり詰まっている。
    早くDVD-RAM一般化しないかな?今に全部を把握できなくなるよ。
    お目当てのCDは一番下のファイルの中に入っているはずだった。
    音を立てないように慎重にファイルを脇に積み重ねて
    下のファイルを取り出す。マグライトで確認する。
    あった~。これで翻訳できる。
    完全とは言わないまでも内容ぐらい把握できるだろう。
    積み上げたCDファイルを元に戻しダンボールのふたを閉め
    物置の扉を閉めて顔を上げるとそこに誰かが立っている。

    「翻訳ソフトは見つかった?」

    アネキだった。

    195 名無~ :2001/05/15(火) 01:09

    俺はもう頭が真っ白になってしまっていた。
    バレてる?い、いやそれよりもなぜ翻訳ソフトのことまで?
    言い訳した方がいいのか?アネキは隠し事を・・・
    しかし強気なようだし。
    どうしたら良い?どんな行動が一番良い?

    俺のパニクった頭の中で出た最良の行動は
    「沈黙」だった。
    行動を起こそうにも情報が少なすぎる。
    このまま黙ってしばらく様子を見るしかあるまい。
    アネキは俺のそんな考えを見抜いたのか
    ニヤニヤしながら近寄ってきた。
    「心配することないわよ。もう全部ばれてるんだから。」
    全部!?全部ってどこまでが全部?
    割れ物集めたりしている事?
    隠れてエロゲーとかエロ動画とか画像とかでオナニしてる事?
    それを学校で売りさばいてる事?
    みんなのPCハクってのぞき見してる事?
    ウキエさんの写真?ワカメの写真?
    そこまで考えて気がついた。
    これはアネキの誘導尋問だ。
    昔はよくこれに引っかかった。
    もう騙されないぞ!

    196 名無~ :2001/05/15(火) 01:10

    「あら。ダンマリ?まぁいいわ。」
    ソフトの事だって物置を漁っていて気がついたに違いない。
    いや、自分のメールが盗み読まれそうな事は
    気がついているのかもしれない。
    それに気がついて俺を監視していて
    今、かまをかけているところだ。きっと。

    「まさかあんたがこんなに諜報能力を秘めていたとはね。」
    諜報能力?何の事だ?
    「違法コピーソフトを集め出すまでは
     何となく予想はついていたわ。
     アダルトサイト巡りもね。
     PCがうちに導入されるって決まった時に
     遅かれ早かれそうなるとは思っていた。
     警察沙汰にならないうちに父さんに警告しておこうとは
     思っていたんだけど、
     思わぬ方向にエスカレートしたわよね。」
    「!?」
    故意に黙秘を決め込んでいる状態ではなくなってしまった。
    そう。何もいえなくなってしまったのだ。
    「あなたのハッキングはずいぶん利用させてもらったわ。
     特にノリスケさんのルートはね。
     もちろんさらに潜り込んで新聞社にバックドア
     作らせてもらったけど。」
    な、何言ってんだよアネキ!?

    197 名無~ :2001/05/15(火) 01:10

    「おかげで表面に出てこないニュースとか
     動きを知る事が出来たわ。
     それ以外にも役に立つ情報もあったわ。
     あなたの同級生に防衛庁官僚の娘さんがいるのね。
     あのデータ。あたしにはとても読み解けないけど
     国に送ったらずいぶん喜ばれたわよ。」
    国?何?ナンデスカ?
    「あんまり役に立つ物だから
     よほどの事がない限り放置しておこうって事で
     あたしと同志アナゴの意見は決まったの。
     でもまさかあたしと同志のメールを盗み読もうとするとはね。
     この事はまだ報告していないわ。
     ひょっとしたらあたしあなたを殺さなければいけないかも。」
    アネキは闇の中でうつむいて言った。
    俺はそれまで気がつかなかったのだが
    アネキは右手に何かを握っていた。
    懐中電灯かと思っていたのだが、闇に慣れた目で見ると
    それは黒光りする拳銃だった。
    女の手で握られているとずいぶんと大きく見える。
    ただ俺が見慣れていないだけかもしれない。
    その視線に気がついたのかアネキは悲しそうに言った。
    「半分しか血が繋がっていないとは言え兄弟だものね。」
    へ?半分?

    198 名無~ :2001/05/15(火) 01:11

    「あんたは不思議に思った事ないの?
     兄弟なのにこんなに年が離れているのよ?
     おかしいと思わないの?」
    そう言われてみればそうだが。
    しかしアネキは俺が生まれた時にはすでに居た。
    「あんたのおしめはあたしが替えた。」
    アネキの口癖だ。
    赤ん坊の俺を抱くアネキの写真もある。
    「あたしはねお母さんの連れ子なの。
     その後、母さんと父さんの間にあんたと
     ワカメが生まれたのよ。」
    ええ?
    「あたしは朝鮮半島で生まれたの。
     38度線以北でね。
     そして朝鮮戦争後に日本にやってきた。
     母さんは身元を隠すために父さんと結婚をした。
     そう、あたしと母さんは北鮮の諜報員なの。」
    えええ!?

    199 名無~ :2001/05/15(火) 01:11

    「母さんはもう引退しているわ。
     と言うより本部の命令についていけないみたい。
     飛行機の爆破事件以来諜報活動はしてないわ。
     でもあたしはその後を引き継いだ。
     あたしがやらなくてはいけないの。
     やめるわけにはいかないのよ。
     ついこの間、同じ区で一家が殺されたじゃない。
     あんな目にみんなをあわせたくないの。」
    「じゃ、じゃああの事件は・・・」
    「あたしは関わっていないわ。
     あの家族の事は知っていたけどね。」
    「でも僕の事は殺すの?」
    「あなた次第よ。
     血が繋がっていなくてもね
     あたしは父さんが好き。
     この家族が好きよ。
     怪しまれないためにね、
     きわめて日本人的な生活を要求されたの。
     正月には羽根突き。春には花見。
     夏にはスイカ割り。秋には月見。
     最初は義務感でやっていたわ。
     でもあたしはこの平和な生活が好きなの!」

    200 名無~ :2001/05/15(火) 01:11

    「・・・マスオ兄さんはどこまで知っているの?」
    俺は殺されたくなかった。
    死ぬなんて考えた事もなかった。
    でも知れる事は知っておきたい。
    たとえ死ぬ事になっても後で後悔しないように。
    「あの人は何も知らないわ。
     あたしは平凡な主婦だと思ってる。
     そしてあたしの事を愛してくれているわ。」
    「アナゴさんは・・・?」
    「同志アナゴはマスオさんと知りあう前から
     あたしの上司よ。
     彼がマスオさんを紹介してくれたの。
     偶然を装ってね。その事をマスオさんは
     知らないけど。
    『疑う事を知らぬ諜報活動の邪魔にならない男だ』
     そう言って紹介したわ。」
    「父さんも何も知らないの?」
    「父さんと母さんの間で何か契約はあったらしいの。
     それは私も知らないわ。
     でも父さんは慈悲深い人だから
     身よりのないあたしたちをかわいそうに思って
     引き取ってくれたのだと思うの。」

    201 名無~ :2001/05/15(火) 01:12

    「その諜報活動はいつからしているの?」
    「日本にきた時から。
     子供の頃から日本の事を勉強して
     訓練されてきたわ。
     さあ、答えられるのはこの辺までよ。」
    「僕を殺すの?」
    「・・・様子を見るわ。
     この事をアナゴ同志に報告しなければ良いんだけど
     見つかってしまえばそれまで。
     それにあなたが黙っていられるか。
     今まで通りに生活できるか。」
    「僕、誰にもしゃべらないよ!
     今までと同じように家族だよ。」
     もちろん邪魔もしないよ。」
    「それが良いわ。
     半分血が繋がっているとしても
     容赦しないからね・・・
     ううん。容赦できないからね。」
    「・・・・・」

    「半分じゃないぞ!」
    突然勝手口から声がした。オヤヂだった。

    206 名無~ :2001/05/15(火) 02:08

    「父さん!?」
    俺たちは声をそろえてびっくりした。
    「いつから聞いていたの?」
    アネキは声を押し殺して聞いた。
    「ついさっきからな。」
    オヤヂは浴衣の懐から煙草を出し、火をつけて
    深々と吸い込んだ。
    「半分じゃない。おまえたちは本当の兄弟だ。」
    「どういう事かしら?
     まさか、『心の中では』とか下らない事言ったら
     今この場でぶっ放すわよ!」
    「まぁ聞け。そうだカツオも聞け・・・」

    親父は勝手口の框に腰掛けると煙草を吸いながら
    話し始めた。時々煙草の明かりで見える顔は
    ひどく老け込んだ気がした。
    「ワシと母さんが出会ったのは戦後間もなく
     まだ東京中が焼け野原でみんなが食い物に困っていて
     家を失った人や家族をも失った人たちが
     その辺を徘徊している。そんな時だった。
     ワシはとある部隊に所属していた軍人で
     復員して帰ってきてももはや家もない。
     知り合いのつてを頼ってヤミ屋を開いて
     何とか暮らしていた。

    207 名無~ :2001/05/15(火) 02:08

    ワシがやっていたのは煙草屋だ。
    GHQのごみ箱を漁ってな。
    シケモクを拾ってきてほぐして新聞紙で巻いて
    それを捌いていた。煙草が足りなくなると
    出がらしのお茶葉を分けてもらって
    それを天日で乾燥してな。混ぜて売ったよ。
    そんな物でも飛ぶように売れた。
    隣近所のヤミ屋には上物を回していたから
    食う物には困らなかった。
    そんなある日、体を売って食い物をもらっている
    母さんに出会ったんだよ。
    俺は器量よしの母さんが気に入った。
    ありったけの食い物を分けてやり
    俺と一緒になるように説得した。
    返事は聞くまでもない。
    それから俺たちは一緒に暮らした。
    母さんは煙草の仕入れも手伝ってくれたし
    無口だが申し分のない女だった。
    だがある時変な噂を聞いた。
    母さんが朝鮮人だというのだ。

    208 名無~ :2001/05/15(火) 02:09

    あの女は朝鮮人だ。
    ヤミ屋の仲間が言った。
    その頃はみんな朝鮮人に敏感になっていてな。
    戦争中ひどい扱いをしたものだから
    いつか仕返しをされるのではとビクビクしていたのさ。
    だが俺はかまう物かと思った。
    俺もすねに傷はある。
    俺たちはそんな噂を気にもせずに働いたよ。
    だがある時母さんが言った。借金があるのだという。
    金額を聞くとその当時では大金だった。
    その借金がある限りあたしは結婚は出来ないと言う。
    俺たちは必死で働いたがそんな金は無理だった。
    ある時韓国語をしゃべる男が訪ねてきた。
    この男に借りているのだと母さんは説明した。
    俺はそいつになんとか待ってくれないか
    頼んでみたがだめだった。
    母さんを連れて行ってしまうと言う。
    俺は何とか金を作るからもう少し待ってくれと言った。
    男は納得したようだが、俺には金を作る当てなどなかった。
    だが、一つだけ方法があった。
    軍にいた頃に自決用に渡されていた薬があった。
    これを使って何とか出来ないだろうか?

    209 名無~ :2001/05/15(火) 02:09

    そして俺はそれを実行した。
    予行練習を2度行い、実行に移した。
    軍で何度もやった作業と同じだったので
    計画はすんなりと行った。
    俺は必要な分だけの現金と小切手を奪い
    それを母さんに渡した。
    母さんの喜ぶ顔が見たかったのだ。
    だが母さんは涙を流しただけだった。
    その夜。母さんは姿を消した。
    その後2.3年で朝鮮戦争が始まった。

    それから十数年後。
    母さんは再び姿を現した。
    女の子を連れていた。俺の子だという。
    俺は嬉しかった。帰ってきてくれたのだ。
    その子は俺の顔を見てもニコリともしなかったが
    俺の子だと確信した。
    俺は母さんを説得して一緒に住もうと言った。
    結婚してくれと頼んだ。
    母さんはそれはこちらからお願いする事ですと言って
    泣いた。そして俺たちはまた一緒に暮らし始めた。

    210 名無~ :2001/05/15(火) 02:10

    ある夜。母さんは俺に金を返した。
    あのときのお金ですと。
    あの時は嘘をついてごめんなさい。
    あのお金は故郷に帰るのに使いました。
    そして帰ってから家族に渡しました。
    あたしは朝鮮戦争後諜報員になりました。
    でも、もうやめようと思っています。
    国よりも大切な物があります。
    サザエとおなかの中の子。そしてあなたです。
    サザエは諜報員を続けると言っています。
    あたしはそれを止める事が出来ません。
    でもあなたにだけは迷惑をかけませんから。
    そう言って俺に金を返した。
    俺は知らぬ振りをする事にした。

    だけどな。母さんがまだ俺に告げていない事があるのを
    俺は知っている。おまえ達が俺に近づいたのは
    731部隊のデータがほしかったのだろう?
    それさえ渡せば、おまえはもう諜報部員を
    やめる事が出来るのかい?」

    211 名無~ :2001/05/15(火) 02:12

    アネキは泣いていた。
    「父さんに対して非情になれるように
     母さんはあたしに本当の父さんだと
     言わなかったのね。」
    「データならくれてやる。
     だからもう危ない事はやめなさい。
     もうおまえ一人の体じゃないのだよ。
     片親が居ない苦しみはおまえも知っているはずだろう?」
    アネキは崩れ落ちてから、下を向いてうなずいた。
    嗚咽が聞こえる。そう言えばアネキの泣き顔を見た事はない。
    「さあ。カツオはもう寝なさい。
     何も心配はいらないんだよ。」
    「うん。」
    俺は部屋に帰ってメールのデータを消し床についた。
    寝られないかと思ったがすんなり寝る事が出来た。

    次の日。何事もなかったように一日が始まった。
    いつもと何も変わらない。
    あれは夢だったのではないだろうか?
    だが机の上には昨日の翻訳ソフト入りCD-Rが置いてある。
    夢ではない。でも俺も何事もなかったように
    学校へ出かけた。

    212 名無~ :2001/05/15(火) 02:31

    あれから俺たち家族はその事について一度もはなした事はない。
    だが一度だけアネキが俺の部屋に来て言った。
    「この串使いなさい。」
    北朝鮮の串だった。
    FTP串とアノニ串らしい。
    アネキはそれだけ言うと行ってしまった。
    以来UPするのも落とすのもその串をかましている。
    俺が捕まって家族を悲しませないようにくれたのだろうか?
    その串は早かった。アノニレベルもA++だ。串ともわからない。
    俺はその串を使って今でもUP/DOWNをしている。
    あゆ板があると適当に見繕って
    アップして、VIP会員にしてもらいまた他の会員制にも
    入れてもらって、warezライフを続けている。
    俺がアップする物は偽装なんてそんなにしないから
    評判が良い。みんな喜んで落とす。

    だがそんな事を繰り返して考える事がある。
    ひょっとするとこれも諜報活動、
    妨害活動の一部なんじゃないだろうか?
    だって俺がアップすればみんなソフトを買わない。
    長い目で見れば国力をそいでいる事にも繋がるんじゃないか?
    しかしもっと恐ろしい事も想像してしまう。
    北朝鮮発の恐ろしい潜伏力と破壊力を持ったウィルスを
    俺にばらまかせているのではないか?
    みんな喜んでそれらを落としてインストールしている。
    でもそんな事は俺の妄想に違いない。
    俺は今夜も物をアップしている。
    あゆ板で俺のH/Nを見かけたら是非声をかけてくれ。
    要書き込みにはしていないけど
    お礼にはたいてい目を通してるから。





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    2ちゃんねる

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